インプラントをやってみようかなと思って、インターネットで色々調べていたら「骨造成」という言葉にいきつきました。骨移植なら聞いた事があるけど、骨造成っていったい何なんでしょう。少し難しい話のようにも思えますが、インプラントを検討している方は絶対に知っておいた方が良い知識ですので、分かりやすく説明していきます。
①インプラントの骨造成って何?
インプラントをしたいなと思っても、骨の厚みや高さが足りなくて「このままだとインプラントができない」と言われてしまうケースは結構あるんです。こういう時、骨を移植して厚みや高さを補うケースもありますが、骨を造成してインプラントができるようにする方法を骨造成と言います。
なぜ、骨が薄くなってしまうのかは個人差もありますし、歯が抜け落ちた事によって骨が痩せてしまうということも考えられます。そしてもし、このままの状態でインプラント治療を行ってしまうとどうでしょう。
骨が割れてしまったり、インプラントがぐらついてしまったり、部分的に露出してしまうことで、インプラントが長持ちしません。そこで、インプラントに耐えることができるようになるまで骨の厚みを増やすために骨造成が行うのです。
とくに上の歯は下の歯に比べると骨が薄い場合が多く、そのままでインプラントできないケースが多いです。そのため、骨造成が必要になる場合が多いのですが、この骨造成をサイナスリフトと呼ぶ場合もあります。
サイナスとは洞(ほら)という意味でここでは副鼻腔のことを指しています。この空洞は粘膜で覆われているのですが、これを突き破ってインプラントをするのは良くないので、サイナスをリフトアップさせて、その下に骨を育てることからサイナスリフトと呼ばれるようになりました。
②骨造成の手順と仕組み
さて、インプラントを行う上で骨造成がどういう時に必要なのかはお分かり頂けたと思いますが、次に骨造成の手順と仕組みについてお話していきたいと思います。
まず、骨造成の方法ですがGBRと呼ばれる骨再生誘導法という手法が最も有効でよく行われています。例えば、何かしらの事故が原因で歯を支える骨が折れてしまったとしても、新しい骨はできますよね。
これは、歯を支える骨だけでなく、腕でも指でも足でもそうです。しかし、歯の場合は骨が新しくできるスピードよりも歯茎などの周りの肉の成長の方が早く、骨が生えてくる隙間に肉が入り込んでしまうケースがあり、骨が治るスピードが遅くなってしまいます。
そこで、歯と骨の間に人工的に膜を張ることで、骨が育つスペースが生まれ、インプラントの土台になるための骨を作り上げることができるんです。
GBRは、どういう時に行われるのかというと大幅に骨量が足りない場合に実施されます。だいたいどのくらいで骨が成長するのかというと、個人差はありますがおおよそ3~6カ月程度でインプラントに耐えられる骨ができあがると言われています。
このGBRは非常に高度な技術が必要になるため、医師の腕が試されます。GBRが必要な場合、その筋に強いドクターを選ぶ事が重要になってきますので、しっかり調べておきましょう。
では、GBRがどのように行われるのか流れを説明しておきたいと思います。
GBRの流れ
1 骨が足りないところに自家骨や骨補填剤を重鎮し、メンブレンで移植骨を固定する
2 骨が安定するまで3~6カ月ほど待つ
3 メンブレンを除去し、インプラントを挿入する
4 安定してきたら、人工歯冠を作成し装着する
以上、GBRの流れになります。大幅に骨を造成する場合はGBRを2~3回繰り返すこともあるようです。
一方、インプラントと同時にGBRを行っていくやり方もありますが、こちらはインプラントを埋入するために骨幅が少し足りない時に行います。インプラントと同時に行う場合の流れについては以下の通りです。
1 インプラントを埋入し、骨が足りない部分の歯肉の中にメンブレンを入れ込む
2 骨が再生するのを待つ
3 飛球修正メンブレンを使った場合は除去し、インプラントに人工歯冠を装着する
以上が、インプラントと同時にGBRを行う場合の流れになります。
③骨造成のリスクはあるの?
さて、骨造成の仕組みや手順についてはお分かり頂けたと思いますが、実際に骨造成をするとなった場合、リスクがあるのかどうか心配ですよね。そこで、骨造成を行った場合のリスクについてお話しておきたいと思います。
まず、骨造成は1回で終わる人もいれば2回も3回も繰り返す人もいます。骨造成は外科手術になるので、その回数が増えたり、手術を行う場所の幅が広くなることで、どうしても合併症のリスクは高くなってしまいます。
また、骨造成を行う期間ですが3~6カ月かかると上記でお話しましたよね。ということは、治療期間が長くなる傾向が非常に高いです。そうなってしまうと、治療費がどうしても高くなってしまいます。
さらに、骨造成の手術後、その部分が腫れてしまったり、出血する可能性があります。もちろん、痛みもあります。骨造成を行うとどうしてもこういうリスクが出てきてしまうのは仕方ありません。手術を受ける前にしっかりと確認しておく必要があります。
ただ、リスクばかりではありません。骨造成を行えばできなかったインプラントを行うことができるし、しっかりとインプラントを支えることができるようになるため、不具合も起きにくいです。
よって、骨造成を行う時はデメリットもしっかり理解した上で受けるようにしましょう。
④インプラントの骨造成は痛みが強いって本当?
以上、骨造成の仕組みや手順、リスクについてお話してきました。そこで、最後に骨造成のリスクの1つでもある「痛み」についてお話しておきたいと思います。
骨造成の痛みですが、個人差はありますが結構痛いのは間違いないようです。
骨造成を受けた人でこんな口コミがありましたので、紹介しておきます。
骨造成した人の口コミ
・今まで親知らずを抜いた時でも痛み止めを使うことはありませんでした。しかし、骨造成の手術を受けた日は痛み止めを使わないと無理でした。
・今まで抜歯した時は痛み止めを1回飲めばなんとかなりましたが、骨造成の時は3回お世話になりました。と言ってもその日と次の日の昼ぐらいまでがピークで徐々に痛みは引いていきました。
このように、骨造成は痛み止めが必要なようです。
後は、骨造成の手術を受けた時の注意点についてお話しておきます。
・処方された抗生物質は全て飲み切る
本当はいけないことなんですが、風邪を引いた時なんか抗生物質を処方されても治ってきたらもう飲まない…なんてこともありますよね。しかし、骨造成をした場合は処方された抗生物質は全て飲み切るようにしましょう。
なぜなら、抗生物質は炎症を起こすのを防いでくれるからです。必ず、歯医者でもらった痛み止め以外の薬は指示された通り飲み切るようにして下さい。
・最低2週間は喫煙しない
骨造成手術だけに留まらず、インプラントと喫煙はとても相性が悪いのは知っていると思います。インプラント手術を行った後に喫煙することで、インプラントの定着率が悪くなってしまうという話は本当です。
これは骨造成手術においても同じことが言えます。喫煙をすると血液循環が悪くなり、手術をした場所から細菌感染する可能性もあります。同じく、アルコールも控えた方が良いでしょう。
また、骨造成は外科手術になるので術後に激しい運動をするのは推奨できません。
しっかり休養して体を休ませるようにして下さい。
・鼻はかまない方が良い
とくサイナスリフトを行った場合に言えることですが、副鼻腔に圧力がかかってしまうので、治癒するまでは鼻に負担がかかるようなくしゃみは控えた方が良いでしょう。だいたい術後、一週間程度は気にしておいた方が良いと言われています。