インプラント

インプラントの失敗と成功

歯が痛い

以前に比べるとインプラントは、どこの歯医者さんでもできるようになり、大きな大学病院などに行かなくても受けることのできる身近な治療となりました。

一方で、インプラントによるトラブルも多くなっていることも確かです。

インプラントが成功するのか?失敗するのか?
はドクターの腕だけではなく、患者さんの協力も非常に重要な要素になってきます。

きっと、このサイトを見られている方は、失敗した後にご覧になっているのではないでしょうか?
安全よりも安さや、安心よりも値段をとられた場合に、失敗のリスクが高くなることもご理解ください。

さて、今回は、インプラントにおける様々な失敗を時系列でわかりやすく説明していますので、是非、参考にしてみてください。
 

目次

1.インプラントが失敗する要因

インプラントを行なう前に、以下のような内容をチェックしておきましょう。
インプラントの失敗やそもそもインプラントができない方に関しても、記載しています。

1−1.喫煙

喫煙喫煙すると歯肉へ広がる毛細血管が、収縮しますので、歯肉への悪影響は必須です。
喫煙する事で、歯肉の治りが悪くなりますし、その後の維持を考えても良い事はありません。

タバコを吸う事で、切開を加えた歯肉の治りも悪くなりますので、百害あって一利なしです。
インプラントを行なうにあたり、禁煙を考えてみるのは、いかがでしょうか?

喫煙は、間違いなくインプラントの失敗率を高めます。

1−2.糖尿病

糖尿病は、感染しやすいという特徴がありますので、インプラントの手術後に回復が遅いために感染してしまうリスクが高まります。
感染した場合は、インプラントを撤去しなければならないのです。
術前より、抗生剤を服用し感染しにくい状態を作ると共に、お口の中をできるだけ清潔に保ちましょう。
朝・昼・晩の1日3回の歯ブラシは、必須になります。

インプラントを行なう場合はHbA1c7.0以下で行なう事ができます。
内科にも対診を行ないますので、担当の先生を主治医に伝えるようにしてください。

1−3.高血圧

高血圧高血圧の患者さんは、インプラントの失敗と成功には、関与しませんが、血圧が高いとインプラントの手術を受ける事ができません。
最高血圧140mmhg/最低血圧90mmhgこれを越えるような患者様は、インプラントオペができませんので、内科にて血圧のコントロールを行なってもらってから手術を行ないます。

血圧が高い場合には、抗凝固剤(小児用バファリン)を服用されていますので、術中、出血が止まりにくい場合があります。
内科のかかりつけの主治医の先生と対診を行ないます。

1−4.リュウマチ

リュウマチの患者さんは、関節における免疫応答反応の異常があります。
炎症をおさえるには、ステロイド薬を服用する必要がありますので、その後に骨粗鬆症になる可能性があります。
服用薬の中に、ビスフォスフォネート系の骨粗鬆症の薬を飲んでいる場合は、禁忌になりますので、主治医に必ずお伝えください。

1−5.未成人の方

未成人成長期の方は、顎が20才まで、成長をし続けます。
成長する顎の骨に対して、インプラントは、歯根膜がありませんので、動きません。
そのため、顎が成長する20才以下の患者さんは、20才以降にインプラントを行なう必要があります。

通常、天然の歯は、顎の成長に合わせて、動いてくれます。顎の成長は、20才まで続くと言われていますが、その後も身長が伸びている方は、主治医に伝えるようにしましょう。

1−6.歯周病

歯周病歯周病は、歯の周りの病気と書きます。
歯周病になると歯の周りの骨が溶けてしまい、最終的に周りの骨がなくなると、歯がグラグラして抜けてしまうという病気です。

歯周病の原因は、歯周病菌といわれる細菌の毒素が骨を溶かします。
インプラントは、虫歯にはなりませんが、歯周病になります。
そのため、インプラントをおこなう部位以外の歯が歯周病であった場合、お口の中が歯周病菌で満たされている可能性が高く、インプラントにも感染してしまいます。
そのため、インプラントを行なう前には、必ず、歯周病の治療を行い、お口の中の歯周病菌の数を限りなく少ない状態にしてから、手術を行なう必要があります。

また、歯を失った原因を今1度考えてみましょう。
歯周病で歯を失った患者さんは、日々のブラッシングと定期検診にて、歯石除去やバイオフィルム除去が足りなかったと言う事です。
そのため、今までのブラッシング方法や回数や定期検診の頻度では、また、歯周病で、歯を失ったり、インプラントが歯周病になる可能性が高いのです。
今までの習慣をあらためて、お口の中の歯周病菌の数を減らすという事を、今一度考えてみましょう。

1−7.歯ブラシ

歯ブラシインプラントを行なう前に、歯ブラシでどれくらいきれにすることができるか?
これも重要な成功要因となります。

歯ブラシを適切にできるかで、お口の中の細菌数が変わってきます。
歯を失ったときと同じような方法と回数で歯ブラシを行っていては、また、歯を失いますし、インプラントも歯周病になります。

歯ブラシをこれを気に見直して、お口の中の細菌数を減らしましょう。

1−8.歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしり・食いしばり歯を失う間接的な原因として、夜間の歯ぎしり・食いしばりが上げられます。
夜寝ている間に、知らず知らずに、歯ぎしりや食いしばりを行なっている方が多く、歯周病や虫歯や歯根ハセツを誘発してしまいます。
以外に知られていない事実ですが、寝ている間は、力のコントロールができませんので、大きな音がでます。
また、音が出ない食いしばりのケースも多く、歯1本にご自分の体重の1.5倍の力が加わります。

歯ぎしり・食いしばりは、インプラントを行なった後、インプラントの被せ物に過剰な力が加わる事も考えられますので、ナイトガードという歯を防護するマウスプースを作製し、他の歯を失わないためにも、夜間の装着をしましょう。

1−9.骨粗しょう(鬆)症

骨粗しょう(鬆)症骨粗しょう症の方は、インプラントを行なう事ができない場合があります。
骨粗しょう症とは、通常、骨は、形成と吸収を繰り返して、絶えず古い骨を壊し、新しい骨が作るというサイクルが繰り返されています。
しかし、骨粗しょう症になりますとこのサイクルが壊れてしまい、骨が壊される方が多くなってしまい、骨折しやすという現象が起こります。

骨粗しょう症の方は、骨を破壊する破骨細胞と呼ばれる細胞の働きを抑制するビスフォスフォネートという薬(フォサマック・アレンドロネート)を服用している事があります。
このような場合、抜歯や外科的処置を行なった場合に、顎骨壊死を引き起こす事がありますので、インプラントは禁忌になっています。

内科でお薬をもらっている患者さんは、必ず担当医に伝えるようにしてください。

2.インプラント術中に起こること

2−1.インプラントを術中に埋入できない

インプラントを術中に埋入できないレントゲンのCTにおける診査・診断では、骨があり、インプラントを打つことができると判断して、手術にのぞんだが、実際に歯肉を開いてみると骨がない、もしくは骨が非常に柔らかいということがあり、インプラントが打つことができないときがあります。

この失敗は、正直なところ予防することが、難しいです。
レントゲンでは、骨の柔らかさまでは、理解することができません。

また、骨があるように陰影が重なり、あたかも骨があるように見える場合もあります。
CTの撮影を行わないで上記の状態になる可能性は、高いですが、CTをとった場合は、打つ手なしと言った感じでしょうか?
このように、歯肉を開いて骨がない・骨が柔らかいと言った場合は、その場で骨造成や骨を硬くするような処置を行ないます。
この後にインプラントを行なえば問題なく、インプラントと骨が結合しますので、安心してください。

2−2.インプラント手術中に神経・血管を傷つけてしまう

インプラント手術を行なう際は、神経・血管がある程度どこに走行しているのかを、CTを撮影して理解しておきます。
しかし、CTと違う走行をしている、神経・血管がまれにあります。
そのような場合に神経・血管を傷つけてしまう場合があります。止血を行なうことにより、出血は、止まってきますが、太い神経を傷つけた場合には、麻痺やしびれが残る場合があります。

CTにおける診査・診断により、血管・神経の走行を、確認しますが、人により走行もちがいますので、100%ではない時があります。
しかし、CTの精度も上がっていますので、以前と比べると非常に見落としは、少なくなっています。
 

2−3.インプラント埋入方向の失敗

現在は、コンピューターにてシュミレーションを行ない、それに合わせてガイドを作製し、方向や深度をシュミレーション通りに行なえるガイド手術(サージェリー)が、行なえるようになりました。
これにより、インプラント埋入方向の失敗は、少なくなりました。

ガイド(手術)サージェリーを行なっている歯科医師が増えていることも、もちろんですが、まだ、導入していない先生もいらっしゃいます。
また、費用の面でガイド手術(サージェリー)を選択しない患者さんもいらっしぃますので、そのような場合に、インプラント埋入方向のエラーが、見られることがあります。

ガイド手術(サージェリー)は、別途費用が発生しますが、インプラントの埋入方向のエラーを考えますと安心を買うようなものですので、手術の際は、選択するようにしましょう。

3.インプラント手術後に起こること

手術後に1ヶ月以内に起こることを、あげてみます。
インプラント手術が失敗か成功かは、見分けがつきにくい事も多々ありますので、注意してください。
不安に思ったら、必ず、担当の先生に聞くようにしましょう。

3−1.術後出血が止まらない

 手術後、唾液に2〜3日に血が混ざるのは、異常ではありません。
この時に、なぜだろうと思い、何度もゆすいでしまうと傷口にできたかさぶたが流れてしまい、治りが悪くなってしまい、傷口が開いてしまう場合があります。
ゆすぎすぎに注意しましょう。

術後、大量の出血が見られる場合は、術中に血管を傷つけてしまった事により起こります。
通常の出血は、ガーゼなどを咬んでいれば、30〜60分で出血が止まってきます。
それでも、出血がなかなか止まらない場合は、すぐに歯科医院に連絡しましょう。
もし、歯科医院につながらない時間帯の場合は、救急病院に連絡をとり、行く必要があります。
しかし多くの場合、唾液の中に血が混ざると血液が多く出ていると勘違いされる方もいらっしゃいますので、注意してください。

3−2.手術後すぐに、腫れてきた

手術後すぐに、腫れてきた2007年にインプラントオペで初めて、患者さんが亡くなってしまったという出来事がありました。
こちらは、インプラントを埋入するためのドリルが、舌側に抜けてしまい、動脈を傷つけてしまいました。
その際は、かすり傷程度だったのでしょう。手術後は、出血も少なく患者さんも問題なく帰宅されたのですが、その後、徐々に血管の傷口が大きくなり、出血で圧迫されて呼吸ができなくなり、亡くなられたそうです。

術後24時間以内に、以上な腫れが認められた場合は、すぐに歯科医院に連絡し、連絡がつかない時間帯の時は、救急車に連絡をしましょう。

3−3.手術後に内出血ができた

骨造成の手術を行なった後は、腫れやすいです。
腫れる場合は、出血が内部で起こっている事があります。
その際は血液が内部で固まりますので、青く見えます。

患者さんは、非常にビックリされますが、これは、通常の出来事で、異常な出来事ではありません。
できた内出血は、徐々に黄色に変化して、下に下がってきて、1週間くらいで消失しますので安心してください。

3−4.術後に麻酔が切れても、しびれる感覚が残る

しびれる感覚が残るインプラント手術を行なった後、約3時間で麻酔が切れてきます。
しかし、麻酔が切れても、唇の周りのしびれや取れない場合は、手術中に神経を傷つけてしまった可能性があります。
術後1週間経ってもしびれが取れないときは、すぐに担当医に相談をしましょう。

上あごの手術ではなく、下あごの手術で起こる可能性が高いです。
下あごの奥歯には、下歯槽神経と言われる大きな神経が走行しています。

この神経を傷つけてしまうと、麻痺が起こります。
発現する頻度は、0.13〜8.5%です。

麻痺が起こりましたら、ビタミンB12やステロイドや星状神経節ブロックなどが有効と言われています。できるだけ早くに専門機関への受診が必要です。

3−5.インプラント術後の感染

骨造成を行なった場合、歯肉の移植を行なった場合、術後に細菌感染を起こす場合があります。
お口の中は、細菌数が床や地面よりも多いと言われています。
そのため、日々のブラッシングで、できるだけ細菌数を少なくする必要があります。また、術前の歯周病治療が必須になってきます。

術後に細菌感染が起こった場合は、1度、手術部位を洗い流します。
洗い流すと徐々に炎症がおさまってきます。
その後傷が治ってから、再度骨造成を行ないます。
骨を増やしたり、歯肉を増やしたりする手術は、非常にテクニックも必要ですし、感染しないよう術者と患者さんとの協力が必要になりますので、担当する歯科医師とコミュニケーションを良くとり行ないましょう。

3−6.鼻血が出る

上あごのインプラントの手術や骨造成(サイナスリフト・ソケットリフト)を行なった場合に、鼻血がなかなか止まらないという現象が起こります。

上あごの4〜5番目以降に、インプラントを打ち込む時に、上顎洞といわれる鼻腔につながる空間を、いじる場合があります。
この際は、鼻血がでる場合があります。

通常ですが、鼻血は、1〜2日で止まってきます。注意事項としては、鼻血が出ても、鼻を強くかまないことです。
鼻を強くかむと上顎洞の粘膜が、破れてしまう事があります。
骨造成をした場合などは、骨が鼻腔より出てきてしまうので、気をつけましょう。

4.術後1〜3ヶ月以内に起こること

術後1〜3ヶ月は、インプラントと骨が結合する期間になります。
この時期は、できるだけインプラントや歯肉に刺激を与えないようにしましょう。

4−1.インプラントと骨がくっつかない

インプラントと骨は、通常、2〜3ヶ月で骨と結合します。
しかし、インプラントと骨がくっつかない(結合)場合があります。
原因として、オーバーヒートがあります。
オーバーヒートとは、過度な温度でドリリングした場合、削られた骨が火傷をおってしまい、治癒に時間がかかるために、インプラントと骨がくっつかないという現象です。

骨へのオーバーヒートが起こるケースは、皮質骨という外側の硬い骨で起こるケースが多いです。
骨を削る際は、できるだけ温度が上がらないように、生理食塩水を骨にかけながら、ドリリングを行ないますが、まれに温度が上がりすぎてしまい、オーバーヒートが起こることがあります。
上あごと下あごですと、下あごで起こるケースが多いです。
オーバーヒートが起こった場合、1度インプラントを撤去し、その後、2〜3ヶ月待ってから、再びインプラントの埋入を行なえば、きちんとインプラントと骨が結合する場合がほとんどですので、安心してください。

術後の傾向として、軽度の痛みや違和感が続くことがありますので、そのような場合は、担当医に相談しましょう。

5.かぶせ物セット後に起こること

かぶせ物をセットで、終わりではなく、その後にメンテナンス(定期検診)を繰り返す必要があります。
メンテナンスを行なわなければ、他の歯やインプラントを失うことになります。

5−1.インプラントの被せ物がとれる?

インプラントのかぶせ物は、ねじで止めるタイプとセメントで止めるタイプの2種類があります。

インプラントのかぶせ物は、基本的に仮づけのセメントを使用します。
これは、中のねじがゆるんだ際に、外してねじを締めなおすために、本づけしません。
また、強い力が加わった時には、インプラントを痛めないように、かぶせ物が外れる機構になっています。
かぶせ物が外れて、ビックリされる患者さんもいらっしゃいますが、インプラントは、基本的に本づけしないということを、ご理解ください。

次は、ねじ止めタイプのインプラントに関して、説明しますね。
ねじ止めタイプは、2013年以降、非常に、また盛んに行なわれるようになった方法になります。
ねじ止めは、セメントタイプとちがく、ねじでインプラントのかぶせ物を止めますので、インプラント周囲炎と呼ばれる、歯周病になりにくいです。
このねじ止めタイプも強い力が加わった場合は、ねじがゆるんで外れるようになっていますので、とれることがある事を、ご理解ください。
ねじがゆるむと咬み合わせが高くなり、違和感を必ず感じます。
その際は、歯科医院にすぐに連絡を行ない、ねじを締めなおしてもらいましょう。

ねじ止めタイプもセメントタイプも頻繁にとれると言う事は、咬み合わせの調整が必要か歯ぎしり・食いしばりが疑われますので、歯科医院を受診しましょう。

5−2.インプラントの周りの歯肉が腫れる

インプラントの周りの歯肉が腫れることを、専門用語でインプラント周囲炎と呼びます。
これは、インプラントの歯周病と理解してかまいません。

インプラントのかぶせ物をセット後に、歯ブラシや定期検診を怠ると、インプラントの周りが腫れて歯肉から出血が起こります。
天然の歯と同じですが、歯周病で失われた骨は、回復しませんので、これ以上、骨が吸収しないように、日々の歯ブラシの改善と定期検診にて、バイオフィルムと呼ばれる細菌の塊の除去が必要になります。

インプラントをおこなったので、もう大丈夫なのでは、ありません。なぜ、歯を失ってしまったのかを、よく考えましょう。

5−3.インプラントのかぶせ物がかける・壊れる

インプラントのかぶせ物が、かけることや壊れることがあります。
かけたり壊れたかぶせ物は、修理をすることが可能です。
一般的なかぶせ物は、本づけしていますので、外すことができませんが、インプラントのかぶせ物は仮づけかねじ止めになっていますので、外して修理に出すことが可能です。

インプラントは天然の歯と違い歯根膜と呼ばれる歯のクッションがありません。
そのために、同じ力が加わっても、天然の歯とインプラントでは力の加わり方がインプラントの方が強いです。
そのために、かぶせ物がかけたり壊れたりすることがあります。
また、歯ぎしり・食いしばりが強い場合も、同じようにインプラントに強い力が加わりますので、かけたり壊れたりすることがあります。

5−4.インプラントが脱落する

インプラントが歯周病になり、最終的にグラグラゆれてしまい抜けてしまうことがあります。

インプラント周囲炎をそのまま放置し、日々のブラッシングや定期検診でのバイオフィルム(細菌の塊)の除去を怠った場合に、インプラントより出血や排膿が起こり、脱落が起こります。

また歯ぎしり・食いしばりにより、インプラント周囲炎が助長されますので、ナイトガードの装着を就寝時に忘れないようにしましょう。

5−5.インプラントかぶせ物の違和感

インプラント手術をおこなってから歯のない期間がありますと、舌が歯のない部分に、頬が歯のない部分に入り込んできます。
歯のない状態を放置した場合も同じような現象が起こりますが、初めに仮歯やかぶせ物が入った場合に、頬の筋肉や舌がもとの状態におさまるのに時間がかかります。
その期間、どうしても違和感や頬や舌を咬んでしまうことがあります。
頬や舌にも慣れが必要ですので、慣らし運転から初めましょう。

6.インプラントの種類で失敗率が変わる?

インプラントのメーカーは、全世界で200社あるといわれています。
現在のインプラントは1980年代より発売されて、現在第4世代のインプラントが発売されています。
日本では、厚生労働省の認可の関係で、一部海外で発売されていても、日本で認可の降りていないインプラントもあります。

それでは、第1世代と第4世代では、成功率・失敗率が変わるのか?という話ですが、やはり第4世代のインプラントの方が、骨とのくっつき(結合)力が高いですので、失敗するリスクが少ないです。
これはインプラントの表面性状の開発や接合部の進化により、インプラントの成功率や長期維持が、以前のインプラントに比べると高いです。

また、インプラントも世界基準のものとそうではないインプラントに別けられ、世界基準のインプラントは、現在も研究開発が繰り返されており、メーカー自体がつぶれる可能性も少ないのに対して、世界基準ではない会社では、その後どうなるのかはわからない部分があります。

安いインプラントなどは、後者となりますので、お口の中で機能するインプラントを値段だけで判断しない方が良いことは、このことからも解ると思います。

7.インプラントを失敗しないために

7−1.インプラントを行なう歯科医院選び

インプラントを行なう歯科医院選びインプラントを行なう歯科医院は、以前に比べると非常に増えています。
歯科医院選びも患者さんからすると難しくなっていると思います。
簡単ですが歯科医院選びの基準を下記にあげますので、参考にしてください。

  1. CTがある
  2. インプラントを行なうにあたり、CTは、必須になります。また、CTは、他の治療においても、確実に医院の診療レベルをあげますので、レベルの高い医院と考えて良いです。

  3. ガイド手術(サージェリー)を行なっている
  4. CTの撮影を行い、その後にコンピューター上で、インプラントを行なうシュミレーションで、埋入角度・深度を決定して、ガイドを用いて、インプラントを埋入する。この方法を取り入れている歯科医院は、インプラントを埋入するトラブルが少ないです。

  5. 手術をおこなう前に、歯周病の治療を行なう。
  6. お口の中が、歯周病により細菌数が多ければ、感染や脱落の可能性がたかくなりますので、歯周病の治療を行なってから、インプラント手術をおこなう必要があります。

  7. 生体モニターやAEDがある
  8. インプラント手術を行なうにあたり、静脈内鎮静法(IV)を行なっている歯科医院もレベルが高い歯科医院と言えます。静脈内鎮静法(IV)を行なうには、生体モニターなどそれなりの器具を準備する必要があります。

  9. 定期検診(メンテナンス)を行なっている
  10. インプラント埋入し、かぶせ物をセットした後に定期検診は必須です。やはり、定期検診をおこなっており、予防歯科に力を入れている歯科医院を選択しましょう。

  11. 学会やセミナーに頻繁に参加している
  12. インプラントに関する、情報は、毎年のように変化します。例えば、インプラントとインプラントの間は、以前は、最低3㍉開ける必要がありましたが、現在は、1.5㍉でも大丈夫という見解が、示されたりしますので、学会やセミナーに参加して、研鑽を重ねる必要があります。HPなどをみれば学会やセミナー参加に関して、記載してある場合があります。また、このような先生は、新しい第4世代の新しいインプラントを使用している場合が、ほとんどです。

上記の内容を、行なっている歯科医院は、ある一定の技術レベルを超えている歯科医院になります。歯科医院選びの参考にしてみてください。

7−2.安いインプラント

インターネットにおいても、1本10万円であったり、常識では考えられない値段のインプラントの広告があります。
現在のインプラントのかぶせ物までの平均の費用は、1本40万円です。
プラスガイド手術(サージェリー)や静脈内鎮静法(IV)と考えると、1本50万円くらいが平均かと思います。
これよりも極端に安いインプラントであった場合、それは何かしら、手を抜かなければなりませんので、注意が必要かと思います。
インプラントは、準備も時間もコストもかかる治療になりますので、以前にインプラントで歯医者は、儲けているなどと報道がありましたが、インプラントは、1本当たりの単価は高いですが、出ていく材料・技工代・勉強代も高いですので、儲けるために行なっている歯科医院は、少ないのが現状です。

安いインプラントで広告している場合、その後にかかる費用などが含まれていない場合や保証がない・短い場合もありますので、その点に関して、注意が必要です。
仮歯代は、通常、別途かかります。

7−3.歯ブラシ・定期検診(メンテナンス)

歯ブラシ・定期検診インプラント手術をする前に、以前の歯ブラシ方法や回数をあらためて、歯周病の状態を改善しておきます。

インプラントを埋入し、被せ物をセットした後が、1番重要です。
セット後の状態をずーっと維持する必要があります。
そのため、セット後は歯ブラシの回数を増やし、今までの習慣を改善し、定期検診をドクターの指示のもとメンテナンスに通い、インプラントを維持して行く必要があります。

7−4.禁煙

禁煙喫煙は、歯にとって良いことは、1つもありません。
インプラントにとっても、もちろん、よいものではありません。
インプラント手術を受ける機会に、禁煙を考えてみては、いかがでしょうか?
 

インプラント手術の失敗と成功のまとめ

インプラントの失敗に関して、時系列で説明を行ないました。
インプラントの失敗の明暗を分けるのは、お口の中の細菌数が、多い・少ないが重要な要因としてあげられます。
なぜ、歯を失ったかをもう一度考え、日々の歯ブラシや定期検診の重要性を考えましょう。

また、他の誘因として、歯ぎしり・食いしばりがあげられます。
日本人の7割の方が強い弱いの頻度は、あれど行なっていると言われていますので、インプラント後は、ナイトガードを装着されることをオススメします。

インプラントは、医療となりますので、100%ではありません。
しかし、それ以上に成功すれば、大きなメリットが得られます。

是非、歯を失った際の選択肢にしてください。

ABOUT ME
田中 健久
医療法人社団歯科タナカ 理事長・歯科医師 ネガティブな歯科医院のイメージを”おもてなしの心”で明るく、 元気に変えていく!