こんにちは、ホワイトエッセンス渋谷:歯科医師の田中健久です。皆さん、自分のお口を覗いてみてください!銀歯は入ってませんか?
笑った時にキラッと光る銀歯は美しいでしょうか??
銀歯が入っている歯は、もう虫歯にならないのでしょうか??
果たして、あなたの歯はそのままでいいのでしょうか???
日本の歯科治療では昔から銀歯が使われてきました。そして、それは今も変わらず使われています。こんなに進んだ世の中なのに、なぜでしょう?
テレビや電子レンジ、掃除機もすごく進化しています。歯科業界もどんどん進化しています。
ただ、銀歯は進化していません。
銀歯を入れるということは、お口に二槽式洗濯機を選んで入れているようなものです。
今では、二槽式洗濯機って何?なんて言われそうですよね。
自分の大事な体です。
歯も美味しいご飯を食べる大切な体の一部ですよね。
1. 銀歯について
1-1. 銀歯ってそもそも何?
虫歯治療をした際に詰める銀歯は、いわゆる合金です。
成分はパラジウム、銀、金、銅、イリジウム、インジウムなどたくさんのものが混ざっています。錆びにくくするためなど、それぞれがそれぞれの成分を補う役割で混ぜられています。
この銀歯治療は世界的にスタンダードかというとそうではありません。これは日本で行われている治療であって、世界的に標準なわけではないのです。
1-2. 銀歯って体に悪い?
銀歯と同じような見た目の詰め物でアマルガムというものが使われていた時代があります。
アマルガムは主成分が水銀でできています。
水銀は、ご存知の通り、水俣病の原因になったものですよね。そんなものを口の中に入れておいて大丈夫な訳がないんです。
口の中に入った金属は少しずつイオン化して体の中に入っていきます。今では、アマルガムは使われなくなりましたが、当時治療を受けられた方のお口の中にまだ入っていることはよくあります。そういった場合は、削って体に害のない素材を詰め直した方が良いでしょう。
1-2-1. アマルガムって?
アマルガムとは、以前歯科治療に用いられていた材料です。体に良くないので、もう用いられてはいません。
しかし、昔、治療をしてずっとそのままだと、まだお口の中にアマルガムがある人はたくさんいます。当然ですが、年配の方に多く見られます。
長い間歯に付いていると、アマルガムの色が歯に浸透してしまいます。
1-2-2. 口の中のアマルガ ムってどうなるの?
アマルガムは簡単に溶け出す物質です。25°Cを超えると沸騰するようなものです。そして、擦れたり強い刺激があると簡単に体に流れ出します。
口の中は当然、体温と同じくらい36°Cはあります。そう。アマルガムは今この瞬間にも溶け出しているんです。
1-2-3. アマルガムの症状は?
体に流れたアマルガムは、腎臓、肝臓、脳などに蓄積されていきます。
神経毒性の強いアマルガムは、症状として末梢性ニューロパチー・視力、味覚、嗅覚の低下・易刺激性(ヒステリー)・うつ病・頭痛・アレルギー・喘息・原因不明の首肩腰および関節の痛みなどを引き起こすことがあります。
特に脳神経の症状や、なんとも言えない疲労感を訴える症状が多いようです。
1-3. 銀歯ってそのままにしていいの?
銀歯はお口につけてから、約7時間後には腐食が始まっているという報告もあります。
銀の食器は錆びますよね?
銀歯も同じです。腐食します。
お口の中は何も食べていない状態であれば中性を保ちますが、何か食べたり飲んだりすることで、一気に酸性に傾きます。
オレンジジュースや炭酸飲料、お酢も強い酸性です。どんどん腐食は進みます。時間が経つにつれて、唾液の緩衝作用もあり徐々に中性へと戻っていくのです。
銀歯はイオン化され体内に金属が流れ込みます。すると口の中ではなく、流れ込んだ体の手や足といった末端に発疹が出ることがあります。これが、銀歯が原因となる金属アレルギーです。
1-4. 銀歯って金属アレルギーの元なの?
先にも述べましたが、銀歯は金属アレルギーの元になることはあります。
以前は全然平気だったのに、急に発疹が出始めて・・・と言って皮膚科を受診すると、「銀歯は入ってませんか?」と言われることもあるんです。
ピアスなどのアクセサリーでは金属アレルギーがある人でも、お口の中では大丈夫と言ったこともあります。
含まれる金属の成分にもよるのです。心配な方は一度、皮膚科を受診してパッチテストをしてもらうことをお勧めします。
主な金属成分は、Al(アルミニウム)、Co(コバルト)、Sn(スズ)、Fe(鉄)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Mn(マンガン)、In(インジウム)、Ir(イリジウム)、Ag(銀)、K(カリウム)、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、Zn(亜鉛)、Au(金)、Cu(銅)、Hg(水銀)。
これらをテストしてもらうといいでしょう。
金属アレルギーについて詳しくお知りになりたい方は現代に増え続ける金属アレルギーの真実。銀歯は金属アレルギー発症の原因になる!をご参照ください。
1-5. 銀歯の化学(ガルバニー電流)って知ってる?
銀歯は自分の歯と比べると、断然熱を通しやすいです。
銀歯をはめてすぐは熱を通しやすいため、冷たいものが凍みやすいですよ。
銀歯は電気も通します。
お口の中に、異なる金属が至る所にあると、その金属どおしがプラス極とマイナス極になって電流を発します。これをガルバニー電流といいます。
このガルバニー電流が原因で、銀歯を付けていた接着剤が劣化すると言われています。
1-6. 銀歯ってなんで取れるの?
銀歯をつけてらっしゃる皆様、銀歯が外れた経験はないですか?
ガムやキャラメルを食べているとポロっと銀歯が外れてしまった。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。
銀歯は接着剤で歯に装着しますが、実はその接着剤に問題があるのです。装着したはずの接着剤ですが、唾やお口の中にある水分で徐々に劣化していくのです。すると、いつしか「くっついていた」はずの銀歯は「ただはまっているだけ」の状態になり、粘着性の食べ物を食べた瞬間にポロっと外れる仕組みになるわけです。
1-7. 銀歯って虫歯になるの?
よく勘違いをしてらっしゃる方がいます。それは、銀歯を詰めて治したから歯は治った!と思ってらっしゃる方です。正直を申しますと、銀歯を詰めること自体は、次の虫歯を作りやすくしただけと捉えていただけるといいと思います。
確かに虫歯は取りました。しかし、銀歯の性質上、精密なものではないですし、小さな隙間を狙って虫歯菌は虫歯を作ります。また、接着剤の性質も考えれば、劣化した接着剤と銀歯の隙間は虫歯菌の巣窟となります。
そして、銀歯の表面も腐食するとざらつきが出てきます。そして、ものを食べたり歯磨きをすることで銀歯の表面は細かい傷が付きます。するとそこに、汚れが溜まりやすくなり、虫歯になる。
この無限ループが繰り返されてしまします。銀歯の寿命はだいたい5年から8年くらいと考えてください。
それ以上長いものに関しては一度外して治したほうがいいでしょう。
あなたの銀歯はどのくらい前に詰めたものですか?
1-8. 銀歯の下の虫歯っていつ気づくの?
銀歯の下の虫歯は、虫歯の黒い色が銀歯によって遮られ、見た目だけでは気づけないことが多いです。レントゲンを撮っても気づけないことがあります。
金属はレントゲン上では白く写ります(固いものは白く、柔らかいものほど黒く写ります)。ハレーションと言って、金属の周りが輝いてしまって見難くなり、虫歯をしっかり確認できないことがあるのです。確実に気付けるのは、虫歯が黒く透けてきた時、歯が欠けた時、銀歯が外れた時、そして、最悪、痛みが出た時です。
最近では、特殊な光や装置を使って、銀歯の下が虫歯になっているかどうかチェックすることもできるようになってきています。銀歯をつける時には、次に虫歯になるかもしれないという それなりの“覚悟”が必要なのかもしれません。
2. 銀歯の警告
銀歯って体にも歯にも悪いの!?良いことないの!!?
良いこともあります。
それは「安くて、とりあえず噛める」というところです。
日本の国民皆保険は優しく、保険治療でも噛めるようなシステムにしてくれています。
ただ、「とりあえず」です。
良い材料、良い治療を受けようとすると、保険適応外になってしまうため、歯医者は高いというイメージになってしまうんですね。
確かに保険外治療は高いです。
しかし、それ以上に素材を比べると、雲泥の差があるということを知っておいてください。
ご自身の歯を守りたいなら、お口の中にある金属を外して、メタルフリーにすることを強くお勧めします。
そんな銀歯を入れているあなたに警告です。
2-1. 銀歯の下に虫歯あり
銀歯をはめて治療が終わったと安心しているあなた。
その歯は本当に治ったとは言えません。
刻一刻と銀歯は腐食していきます。
神経のある歯は凍みてくるので痛みが出ます。
痛みはあなたにサインを送っています。
早めに歯医者さんに行きましょう。
2-2. 銀歯の被せ物は抜歯へのカウントダウン
銀歯の被せ物は歯を覆う形のものです。
虫歯が大きく、歯の神経を取る処置を受けた場合には、歯の一部を覆う銀歯の詰め物ではなく、歯の全体を覆う被せ物を入れることが多いです。
2-1では神経のある歯の話をしましたが、神経の無い歯はあなたにサインを送ってはくれません。
痛みを発しないのが怖いのです。痛みを発しない銀の被せ物の下で広がった虫歯は、どんどん蝕んでいき、ついには被せ物ごと歯の頭の部分がゴロっと取れます。
その時にはもうアウトです。
深すぎる虫歯はもう手遅れになることが多いです。つまり、抜歯しなくてはいけないということです。
2-3. 銀歯が人体に及ぼす悪影響
銀歯は合金です。イオン化してどんどん体内に運ばれていきます。
こうしている間にも、金属が体の中を駆け巡っています。
身体に必須な鉄分が不足がちだから丁度いい!!なんて流暢な話ではないんです。
その金属が溶出することで、銀歯の近くの歯茎が黒くなる(メタルタトゥー)が生じたり、前述しましたが金属アレルギーになることも懸念されます。
やはり、お口の中はメタルフリー、銀歯がない状態の方が良いと思います。
3. 口の中を健康にするための材料選び
銀歯の特性、今後の末路についてはご理解いただけたでしょうか?
銀歯で幸せ、歯ッピーライフはなかなか厳しそうです。
今は大丈夫。でもそのうちどうにかしなくてはいけない、もしくは外れたり、痛くなったりする・・・と、ビクビクしながら生活していかなくてはいけません。
では、今現在、用いられる歯科材料で、どのようなものがあるのか?何を選んだらいいのか?お教えいたします。
3-1. セラミック(e-max)
現在、用いられる材料で機会の多くなってきている材料です。
全て二ケイ酸リチウムガラスでできているもので、硬さも実際の歯にとても近いです。
歯の審美性にとても大切な透明度も高く、見た目の色も形も申し分なく仕上がります。
表面の性状としては、とても滑沢で汚れがつきにくいので、この点でも虫歯になるリスクが低いと言えます。
また、経年的な変色や材質的な劣化もないので、長くお口の中でしっかり機能してくれます。
ただ性質として、たわむことができないので、奥歯のブリッジの欠損補綴には用いることができません。
3-2. ハイブリッドセラミック
レジンというプラスチック状の材料にセラミックを混ぜたものをハイブリッドセラミックと言います。
ハイブリッドセラミックの位置付けとしては、レジン単体のものよりもセラミックを混ぜ込むことで硬さを増し、耐久性をある程度アップさせていますが、耐久性、経年的変化など全てにおいてセラミック単体のものよりも若干劣ります。
性質としては、セラミックよりもレジンに近く、経年的な変色は否めません。
また、セラミックと比べると表面的な汚れの付きやすさで劣ります。
ハイブリッドセラミックのメリットとしてはセラミックよりも安価であることです。
3-3. メタルボンドクラウン
メタルボンドクラウンというのは、裏打ちを金属、表面にセラミックを焼き付けた被せ物のことです。
小さい詰め物には適応されず、被せ物のみに用いられます。
前述した銀歯に用いられる金属とは違い、セミプレシャスメタル、ノンプレシャスメタルというものを用います。
精密に作られるものですし、表面はセラミックですので、表面的な変色が無く、汚れもつきにくいです。
また、強度も十分ですので奥歯や欠損補綴のブリッジとしても用いることができます。
3-4. ジルコニアボンドクラウン
人工ダイヤモンドと言われるジルコニアを裏打ちに用いて、表面にセラミックを築造した被せ物です。
構造としてはメタルボンドクラウンに似ていますが、ジルコニアボンドクラウンは、天然歯に大切な透明感が再現できるので、前歯の被せ物にお勧めです。
しかし、ジルコニアとセラミックの境目の接着がメタルボンドよりも強固でないため、奥歯での使用は避けた方が好ましいかもしれません。
3-5. ジルコニアクラウン
前述したように、ジルコニアは人工ダイアモンドと言われるほど硬いものです。
天然の歯と比べると、約2〜3倍の硬さです。
そのため、すり減ることはなく、逆に自分の歯が歯ぎしりによってすり減ってしまう危険性もあります。
定期的な噛み合わせ調整が必要になりますので、歯に装着した後は定期検診で噛み合わせチェックもしてもらった方がいいでしょう。
ジルコニアの一番の利点は「汚れがつきにくい」ということだと思います。汚れがつきにくいことで2次的な虫歯も防ぐことがより可能になります。セラミックよりも汚れがつきにくく、最近では色も天然歯に近づけれるようになってきています。
3-6. 被せ物の比較表
審美性 | 耐久性 | 価格 | |
---|---|---|---|
セラミック(e-max) | ◎ | ○ | 10万円 |
ハイブリッドセラミック | △ | △ | 6〜8万円 |
メタルボンドクラウン | ○ | ◎ | 10〜12万円 |
ジルコニアボンドクラウン | ◎ | ○ | 15万円 |
ジルコニアクラウン | △ | ◎ | 5〜7万円 |
※価格は各医院で異なります。
4. まとめ
ここまで、銀歯を付けているととんでもないことになりますよ!?と脅しめいたことを説明してきましたが、残念ですがどれも本当のことです。
歯のためにお金を使うなら、もっと他のものに使いたい!という人も結構います。
経済的な理由でやむなく銀歯にしなくてはいけなかった方もいらっしゃるでしょう。
ただ、ここでお話しした事実だけでも理解していただけたらと思いますし、心配な方は定期検診でしっかりチェックしてもらうことをお勧めいたします。
歯は大切に、一生美味しいものを食べて過ごしたいですよね!