虫歯

費用も時間も抑えられる、1日でセラミックの歯が手に入るセレックとは?

セレック(CEREC)とは

CERECとは、 CEramic REConstruction(セラミック 修復)
の略であり、計測装置、設計装置、加工装置で構成される、
歯科用CADCAMシステムです。

※CADCAM … Computer Aided Design/Computer Aided Manufacturing
(コンピューターを使用して、設計や生産などの作業を一貫して行う技術)

1985年にチューリッヒ大学(スイス)のWerner H. Mörmann教授らのグループが、医療先進国であるドイツのシーメンス社(SiemensAG)と共同で開発して、世に送り出されました。

1回の治療でオールセラミック修復物を直接製作するという治療方法は、新しい概念を歯科医療の世界にもたらすものでした。

日本においては1992年に発売されています。

世界で最初の歯科用CADCAM「セレック オーバーレイ」から始まり、30年以上に渡り改良を積み重ね、現在は第五世代にあたる「セレック オムニカム」が世界中で広く愛用されています。

数あるCADCAMシステムで最も歴史が古く、唯一30年以上続いているセレックには、たくさんのメリットがあります。そのメリットについて、一つ一つお話をしていきたいと思います。

セレックの5つのメリット

メリット1 型取りがいらない

歯医者さんでの嫌なことを一つあげるとしたら、「型取り」をあげられる方は多いと思います。

詰め物等を作るためには歯型が必要なので、ドロドロとした型取り材(印象材)をお口の中に入れ、2分くらい待たなければなりません。喉の方にも垂れてくるので、苦しくなったり、嘔吐反射が激しい方(えづきやすい方)などは、吐きそうになったりすることがあります。

セレックシステムの素晴らしいところは、この「型取り」をしなくてもよいところなのです。

 

従来の「型取り」がいらない歯型作製について、詳しくお話すると、ビデオカメラのようなもので、歯を撮影し、それが画面上で3D画像として表現されますので、そのデータをもとに設計していき、機械で削り出していくのです。

従来の型取りがないのは、患者さんにとって、非常にメリットの高いものではないでしょうか

 

メリット2 短時間と低価格

セラミック治療と言えば、保険の適用がなく、高額な治療費を
イメージする方も多いのではないでしょうか?

セラミックの治療には、美しい見た目はもちろん、高い技術や精度が求められており、治療に対する費用に加えて、製作には1週間程度の日数を要することが一般的でしたが、コンピューター制御で製作ができるCADCAMシステムを用いれば、高い精度のセラミック補綴物を、短時間で製作することが可能になりました。

CADCAMシステムの中でも、1日で完結するセラミック治療を重視している「セレック」では、通常1週間を要する治療期間を、最短1時間まで短縮することが可能です。

コンピューターを使用することにより、本来製作に携わるはずだった製作者の人数や、製作時間を大幅に削減することが出来るため、結果として費用を抑えることに繋がっています。

一般的に、今までは、詰め物で5~8万円、被せ物で10~15万円ほどかかっていた費用が、詰め物が3~5万円、被せ物が5~8万円ほどで治療することが可能となっています。

 

メリット3 精度について

従来のアナログによる製作法では、型取りから製作に渡り、様々な工程があり、多くの材料を使用します。

そのため、セラミック修復物の精度を低下させる可能性として多くの問題が挙げられます。

・型取り材の変形・収縮
・血液、唾液による汚染→模型の表面への影響
・正確ではない石膏の混水比による模型精度の低下
・硬化時の膨張、石膏の重さによる変形
・石膏表面への接触による損傷、摩耗、溶解
・ワックス(原型を製作する材料)の収縮や変形…など

アナログの製作方法では、これら全ての問題を解決し、完璧なセラミック修復物を製作するのは非常に困難であり、特に詰め物に関しては、より難易度が高くなります。

しかし、セレック治療においては、デジタルの型取りによってセラミックを製作しますので、従来の型取りや、製作に使用する材料を使用せず、これら全ての問題が一切関わらない為、高い精度を実現することが可能です。

また、デジタルの型取りで製作したデータは、工業用の切削機器に広く使用されるSTLデータ(三次元形状を表現するデータを保存するフォーマット)に変換することで、他の技工所との連携も可能です。院内でデジタルの型取りをしたデータを技工所に送信し、そのデータをもとに作製してもらう、ということもできるのです。

より幅広い治療を、デジタルの技術を使用して行うことが出来ます。

噛み合わせにおいても同様に、デジタルによる型取りの方が優れています。

食いしばる際に負荷のかかった歯牙は、わずかに移動します。
これは歯根膜という歯の周りのクッションのような組織の働きで、このような噛み合わせの関係まで読み取れることができるのは、生体ならではのことであり、口腔内でのデジタルの型取りでのみ可能です。

このことから、非常に精密な設計を行うことが出来ます。

設計に関し、更にもう一つ大きな優位性があります。

アナログによる製作方法であれば、接着力に大きく関わるセメントスペース(接着剤のスペース)を均一に付与することは非常に困難であり、ほとんどの場合、適切な厚みではなく、厚みのムラもできてしまいます。

しかし、セレックでは、構造上最も荷重に耐えられるとされる、セメントスペース50μm~100μmをコンピューター制御により、適切かつ均一に付与することが可能です。

型取りや設計に関わる精度は、改良と共に向上しており、同時に、削りあがったセラミックの適合性も、非常に高まっています。

デジタルによる設計は、コンピューターの計算により、短時間で行われます。
口腔内でのデジタル印象採得を終えたと同時に、これら精密なデータを基に設計を開始することで、最適なセラミックを製作できる形成なのか、すぐに確認が行えます。

そして、必要があればその場で形成を修正し、より理想的なセラミックを製作することも出来るのです。

 

メリット4 長期予後性について

セレックに使用するセラミックブロックは規格生産された高品質な物を使用しています。

デンツプライシロナ社の公表する修復物の15年後の残存率を調べた臨床研究によると、通常の治療の約68%に対し、セレック治療は約93%という結果が出ています。

この長期安定した状態を維持出来るのは、使用しているセラミックのブロックが、歯のエナメル質に硬さが近似しているからであり、噛み心地やすり減り方も、天然の歯と同様なのです。使用している隣接する歯や、噛み合う歯に対しても優しい素材と言えます。

また、歯科金属を一切使用しないため、細菌付着性やアレルギーの心配がありません。
歯科用金属が原因と考えられる金属アレルギーは、

(口腔内)
粘膜のびらん、舌炎、口内炎、口唇炎など

(口腔外)
全身性の接触皮膚炎、手足の水泡、アトピー性皮膚炎などが考えられます。細菌の付着に関して言うと、金属はプラスイオンの状態で、細菌はマイナスイオンの状態なので、金属が細菌を引き寄せてしまうことがわかっています。その点、セラミックは、イオン化していないので、細菌を寄せ付けることもなく、表面が非常に滑沢(なめらかでツヤのある状態)なので、細菌がくっつきにくい性状になっております。

 

メリット5 即日で詰め物・被せ物がSETできる

症例にもよりますが、セレックは即日(その日中)で詰め物・被せ物がSETできます。

設計に5~15分、削りだしに15~20分、研磨に5分、最短で1時間程度でSETすることが可能です。
セレックの即日SETには多くのメリットがあります。

・仮封(仮の詰め物)がいらない
・仮封用のセメントで削った歯面を荒らすことや、汚染することがなく、接着力が低下しない
・削って鋭利になった歯面が破折するリスクを防ぐ
・通院回数を減らす

中でも、歯を削った新鮮な歯面のまま接着できる治療は、即日SETに特化したセレックの最大の特徴であり、高い残存率の一つの要因と考えられています。

 

セレックの今後について

現在、工業を中心に飛躍的な進歩を見せるCADCAMの技術ですが、歯科の分野でも、様々なメーカーの技術競争により急成長しています。

「AI」や「CADCAM」…最近よく耳にするようになってきた言葉ですが、今後の未来に大きく関わるのはアナログではなく、デジタルです。

歯科用CADCAMの中でも、最も長い歴史を持ち、最先端の技術を誇るセレックは、今後の歯科業界にも、大きな影響をもたらすと期待ができるでしょう。

 

ABOUT ME
清水龍 | くにたち旭通り歯科
清水龍 | くにたち旭通り歯科
日本大学松戸歯学部卒業。「オーダーメイドの歯科治療。患者様想いの歯科医院」をモットーに、一般歯科から最先端を行くインプラント治療までトータル治療を提供。また通院が難しい高齢者や体が不自由な方のために、訪問診療への取り組みをしています。