虫歯

銀歯が取れた時に行う応急処置と正しい知識

こんにちは、ホワイトエッセンス渋谷歯科医師の田中です。
食事の際に、あれっ?あれっ?なんか変だぞ?硬いものが当たる?なんだろうと出してみると銀歯だー!ってことありませんか?

困ったなーと思われる患者様もたくさんいらっしゃると思います。そもそもですが、銀歯は一生ものではありません。歯科医師も初めから銀歯が取れることは、想定内なんですね。

今回は、銀歯が取れた時の応急処置に関して、皆さんにわかりやすく説明したいと思います。

銀歯は、どんな時にとれるのでしょうか?

銀歯は、虫歯を削り、その部分の型を採り、型に合わせた銀歯を作り、歯にセメントで接着させます。この工程は、皆さんも理解できるかと思います。ではでは、どんな時に銀歯が取れるのかを箇条書きにします。

・虫歯になった時

・セメントの寿命

・歯ぎしり・食いしばり

・強い衝撃

・キャラメル・ハイチュー

虫歯になった時

銀歯がとれる1番の原因は、虫歯が挙げられます。虫歯になると写真のように銀歯と虫歯の間に歯が溶けて空間ができます。そのため、銀歯が外れてしまいます。銀歯は、もともと、歯との間に隙間がありますので、それをセメントで埋めています。そのため隙間に入る虫歯菌より虫歯になることが多いため、知らない間に虫歯になり、銀歯が取れるという流れになります。

セメントの寿命

セメントは、溶けるものではないと言う認識があるかもしれませんが、毎日唾液と食べ物にさらされていればセメントも溶け出します。溶け出した部分には、隙間ができますのでそこから虫歯になる、あるいは銀歯がとれるということが起こります。

セメントも以前に比べると強さも硬さも比べ物にならないくらい進化していますが、それでも保険で使用されるセメントは、自費で使用されるセメントに比べて弱い部分があります。

歯ぎしり・食いしばり

基本的に普段の食事でセメントが壊れたり銀歯が外れることは少ないです。では、どんなときかと言うと眠っている時だと言われています。歯ぎしり・食いしばりは、寝ている間に起こり、歯1本に体重の1.5倍の力がかかります。私ですと60キロですので90キロの力が加わります。90キロとなると相当な力だと予測ができると思います。この力で毎晩毎晩銀歯に負担を与えていると取れてしまうのも納得が行くのではないでしょうか?

「私は、歯ぎしり行っていない」と言われる方もいらっしゃいますが、音がならないので問題ないと思っている方が多いようですが、実際は、食いしばりで音が鳴らない人の方が多いようです。

強い衝撃

何か強い衝撃を受けた時、例えば、顎を強打して、上下の歯がぶつかってしまった場合が考えられます。このような時は、顎の力を制御できませんので、強い衝撃が銀歯にも加わります。交通事故のような場合、このような現象が起こります。

キャラメル・ハイチュー

銀歯の天敵ハイチュー・キャラメルです。私の中では、ナンバー1はハイチューだと思っています。銀歯は、セメントを介して歯と接着を促しますが、銀歯とセメントの接着はそこまで強くありません。そのため、銀歯が取れたと来る患者さんの歯を見てみると歯の方にセメントが残っている場合が多いです。

ハイチューは、セメントと銀歯の接着を剥がす粘着力がありますので、銀歯の部分でハイチューを咬むとひとたまりもありません。

急いで歯医者に行く必要があるのか?

銀歯が取れたら、すぐに歯医者に行ってください。必ず直ぐにです!銀歯がとれますと象牙質という歯の柔らかい部分が露出します。この部分は、柔らかいので虫歯になりやすく、進行も非常に早いです。放置していたら激痛となり、神経の治療が必要になったという患者さんを何人も診てきました。また、できるだけ早く行けば銀歯の中で虫歯が進行しても神経の治療に至らない場合も多いです。ご存知かもしりませんが、神経の治療を行うと治療回数が多くなりますし、歯の寿命も短くなります。

銀歯が取れると歯の尖った部分が現れます。この歯の尖った部分が慢性的に舌にぶつかってしまうと癌化(ガン細胞化)する場合があります。以上のことから考えると銀歯が取れたら、急いで歯医者に行った方が良いですね。

取れた銀歯は、どうすれば良いか?

銀歯がとれたら、まずは飲み込まないように注意てしてください。たまに飲み込んでしまったという方がいらっしゃいます。

取れた銀歯は、きれいに洗って歯医者に行く際に持って行ってください。なぜならば、もし、虫歯になっていない場合は、再利用することができるからです。セメントの強度的にハイチュウの粘着力に負けて取れた場合は、再利用することができます。それに対して、虫歯で取れた場合は、また削る必要があるので、銀歯を再利用することができません。

まれに患者さんの中には、銀歯が外れた歯を鏡で見たら黒かったので、虫歯だと思い銀歯を捨ててしまったという方がいらっしゃいます。実は、セメントが黒く着色している場合もありますので、ご注意ください。

いずれにしてもとれた銀歯は、大切に保管して歯医者さんに持って行きましょう。

銀歯がとれた際の応急処置は?

銀歯が取れた際に、1度は、戻してみる方が多いと思います。通常、銀歯を詰めている歯は、神経がありますので、銀歯が外れるとしみてしまいます。これを防ぐには、まずは銀歯を戻す必要があります。しかし、結構銀歯を戻すって大変なんです。鏡で見ても逆の動きをしないといけませんので、思ったようにはいきません。また、元に戻してもきちんと戻っていないとその銀歯の部位だけが高くなってしまことがあります。

とりあえず戻してみることにトライしますが、最終的には、歯科医院に行くことが前提で行うようにしてください。

銀歯をとれたままにするとどうなるか?

銀歯をとれたままにするとほとんどの場合、虫歯が進行して神経に達したところで激痛が待っています。前述しましたが、銀歯が入っている歯は、神経が残っていることがほとんどですので、外れるとしみますし、そのまま放置しているとやがて激痛が始まります。虫歯による神経の痛みは、体の中の痛みの中で最も痛みが強いです。昔は、拷問として歯の神経をつつくというくらい痛みが強いです。銀歯をとれたままにすると本当に危険ですので、絶対にとれたままにしないようにしましょう。

 

銀歯が取れた時に行う応急処置のまとめ

1)銀歯を元の詰められていた歯に戻してみる

2)戻せなかった場合は取れた銀歯を大切に保管

3)虫歯が進行するので、できるだけ早く歯科医院に行く

ABOUT ME
田中 健久
医療法人社団歯科タナカ 理事長・歯科医師 ネガティブな歯科医院のイメージを”おもてなしの心”で明るく、 元気に変えていく!